資料No. SA-0075
侍アーカイブ
新田義貞
Nitta Yoshisada
上野国の武将、南朝方の総大将
第一章 — 人物概要
| 氏名 | 新田義貞 |
|---|---|
| 英名 | Nitta Yoshisada |
| 出身 | 日本 |
| 生没年 | 1301–1338 |
| 性別 | 男性 |
| 世紀 | 14世紀 |
| 家・役職 | 侍 |
| 肩書 | 上野国の武将、南朝方の総大将 |
第二章 — 経歴
1301年(正安三年)頃、上野国新田荘(現在の群馬県太田市)の御家人・新田氏に生まれる。足利氏と同じ源義国の流れをくむ源氏の名門でありながら、新田一門は長く不遇の地位に置かれていた。1333年(元弘三年)、後醍醐天皇の倒幕の綸旨を受けて挙兵。
生品明神で旗を挙げ、わずかな手勢で鎌倉へ向かうと、反北条の兵が続々と加わって大軍となった。分倍河原で北条軍を破り、稲村ヶ崎では海へ黄金の太刀を投じて潮を退かせたと『太平記』は伝える。5月、鎌倉を陥落させ、北条高時ら一門を東勝寺に自害させた。
百四十年続いた鎌倉幕府はここに滅んだ。建武の新政では恩賞を得たが、やがて足利尊氏(本サイト id 25)と対立する。1335年の箱根竹ノ下の敗北以後は劣勢に転じ、1336年の湊川では盟友・楠木正成(本サイト id 16)を救えぬまま敗走した。
京を追われた義貞は皇子を奉じて越前へ下るが、金ヶ崎城が落ちて皇子と我が子を失う。1338年(延元三年)閏7月2日、藤島の泥田で流れ矢に射られて戦死した。享年三十八。南朝は最大の軍事的支柱を失った。
第三章 — 年表
第四章 — 名言
“長く日陰にあった新田の名を、源氏の名にかけて天下に示す。”
第五章 — 逸話
[A]稲村ヶ崎の太刀——伝説と実像
『太平記』はこう語る。鎌倉攻めの義貞は稲村ヶ崎で満潮に阻まれた。腰の黄金の太刀を海へ投じて竜神に祈ったところ、潮が沖へ退いて干潟が現れ、そこを軍勢が駆け抜けたという。この劇的な逸話は後世に広く親しまれ、忠臣義貞の武勇を象徴する場面となった。
史実としては、干潮の時刻を狙った巧みな用兵だった可能性が高いとされる。だが伝説であれ実像であれ、長く不遇だった新田一門の当主が、この一戦で鎌倉幕府を一気に滅ぼしたことは動かない。義貞にとって稲村ヶ崎は、半生の鬱屈を晴らす晴れ舞台だった。
同時にこの勝利が、彼を足利尊氏との宿命の争いへと押し出し、以後の転落の起点ともなった。太刀を投じた砂浜は、栄光と悲劇の分水嶺だった。
第六章 — 影響と遺産
新田義貞は、鎌倉幕府を実力で滅ぼした立役者でありながら、後世長く『足利尊氏に敗れ続けた凡将』として低く評価されてきた。智勇兼備の楠木正成(本サイト id 16)と対比され、正成を湊川で見殺しにした男という汚名も背負った。だが近年の研究は、尊氏の大軍を相手に南朝方の軍事をほぼ一手に支え続けた義貞の奮戦を、正当に評価し直している。
江戸期の水戸学と明治の国家は義貞を後醍醐天皇に殉じた忠臣として顕彰し、越前の藤島神社(福井市)や上野の新田荘に祀った。だが顕彰の像とは別に、義貞自身が最期に見たのは、大義の輝きではなく、足を取られた越前の泥と、眉間に迫る一本の矢だった。鎌倉を落とした英雄の、あまりに人間的な最期である。
子・義興や義宗ら新田一族はその後も南朝方として抵抗を続けた。
第七章 — 主な功績
- [01]鎌倉攻めと鎌倉幕府の滅亡(1333)
- [02]建武政権下での軍事指揮
- [03]尊氏追討軍の指揮
- [04]北陸における南朝拠点の経営
- [05]南朝方総大将としての抗戦
第八章 — 参考資料
原典・公的アーカイブ
- 一次資料
太平記
義貞の挙兵から藤島の戦死までを詳述する軍記
- 学術文献
新田義貞
峰岸純夫 / 吉川弘文館(人物叢書)
現代の義貞研究の代表的伝記
- 公的所蔵
おすすめ書籍
第十章 — 関連レポート
SA-RPT
稲村ヶ崎——1333年、義貞が海に太刀を投じて鎌倉を落とした
1333年5月、新田義貞は鎌倉の外れ稲村ヶ崎で海へ黄金の太刀を投じ、潮の引いた干潟を駆けて鎌倉へ攻め入った。百四十年続いた鎌倉幕府が、一人の不遇な御家人の挙兵から半月あまりで滅んだ。
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湊川の敗走——1336年、義貞は盟友・正成を救えなかった
1336年5月、摂津湊川。九州から巻き返した足利尊氏の大軍を前に、新田義貞と楠木正成は敗れた。正成は討死し、義貞は敗走して生き延びた。共に建武政権を支えた二人の、明暗を分けた一日だった。
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藤島——1338年、泥田の流れ矢が南朝の柱を折った
1338年閏7月、越前藤島。新田義貞はわずかな手勢で味方の救援に向かった先で足利方の大軍と遭遇し、泥田に馬を取られたところを流れ矢に射抜かれて戦死した。享年三十八。南朝はこの日、最大の軍事的支柱を失った。



