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資料No. SA-0048

侍アーカイブ

井伊直政

Ii Naomasa

近江佐和山十八万石初代藩主、彦根藩開祖、徳川四天王

第一章 — 人物概要

氏名井伊直政
英名Ii Naomasa
出身日本
生没年1561–1602
性別男性
世紀16世紀
家・役職
肩書近江佐和山十八万石初代藩主、彦根藩開祖、徳川四天王

第二章 — 経歴

1561年(永禄四年)2月19日、遠江国井伊谷(現在の静岡県浜松市北区)で井伊直親の長男として生まれる。幼名は虎松。父・直親は今川氏真によって誅殺され(1562)、直政は今川家の追及を逃れて寺に匿われて育った。1575年(天正三年)、十五歳で徳川家康に出仕し、以後家康の信頼を得て急速に頭角を現した。

1582年(天正十年)の武田家滅亡後、家康は武田家の精鋭部隊を直政に与え、これを基幹として全身朱色に統一した装備の「井伊の赤備え」が編成された。武田家の山県昌景の率いた赤備えを継承する形で、徳川軍最強の精鋭部隊となった。1584年小牧長久手、1590年小田原、1600年関ヶ原など主要合戦に参戦。

関ヶ原では東軍先鋒として島津義弘の退却部隊を追撃した際に銃創を負い、この傷が元で1602年(慶長七年)2月1日に佐和山城で没した。享年四十二。死後、息子・直勝(後に直孝)が継承、本拠を佐和山から彦根へ移して彦根藩を確立、井伊家は江戸期を通じて譜代筆頭格として続いた。

第三章 — 年表

1561遠江国井伊谷に生誕
1562父・直親、今川氏真に誅殺される
1575十五歳で徳川家康に出仕
1582武田家滅亡後、その精鋭を継承し「井伊の赤備え」を編成
1584小牧長久手の戦いに参戦
1590小田原征伐に参戦、上野箕輪十二万石
1600関ヶ原の戦いで東軍先鋒、島津追撃中に銃創
1601近江佐和山十八万石を与えられる
1602佐和山城にて没、享年四十二

第四章 — 名言

我武田の旧臣を引き継ぐ、その装束を変ふべからず。

-- 井伊家伝記の趣旨(赤備え継承の意図)

第五章 — 逸話

[A]赤備えの継承——武田から徳川へ

1582年の武田家滅亡後、家康は武田の旧臣・遺領を再編成する中で、武田家の山県昌景率いた朱色装備の精鋭部隊「赤備え」を井伊直政に与えた。装備の朱色は染料費が高く維持に金がかかるため、当時としても象徴性の高い特別部隊だった。

直政は二十二歳。武田家臣を組織的に受け入れ、装備を維持し、戦法も継承することで、徳川軍内に独立した精鋭部隊を作り上げた。後の関ヶ原などで井伊の赤備えは見栄えと実戦力を兼ね備えた象徴的部隊として機能した。

[B]関ヶ原の銃創と二年後の死

1600年9月15日の関ヶ原合戦で、直政は東軍先鋒として東軍の戦果を確かなものとした後、敵中突破を試みて退却する島津義弘部隊を追撃した。この追撃中、島津側の銃撃により直政は腿に銃創を負った。傷は浅くはなかったが当時は致命傷ではないと見られ、直政は戦後の論功行賞で近江佐和山十八万石を与えられた。

しかし傷は完治せず化膿を繰り返し、約一年半後の1602年2月に佐和山城で没した。関ヶ原の銃創が二年遅れの死をもたらした珍しい事例として記録される。

第六章 — 影響と遺産

井伊直政は徳川四天王(酒井忠次・本多忠勝・榊原康政・井伊直政)の最年少にして、最も鮮烈な印象を残した武将である。直政が継承した「井伊の赤備え」は徳川軍の象徴的精鋭部隊として知られ、現在でも徳川軍を語る際の代表的アイコンとなっている。直政の死後、彦根藩は息子・直孝の代に確立され、江戸期を通じて譜代筆頭格・大老輩出家として徳川幕府を支えた。

十三代目の井伊直弼(本サイト id 27)は安政の大獄と桜田門外の変で知られる幕末の重要人物で、直政から直弼まで二百五十年続く井伊家の系譜は徳川幕府の歴史そのものを体現している。彦根城は国宝五城の一つとして現存し、彦根城博物館に井伊家伝来の甲冑・文書が所蔵されている。

第七章 — 主な功績

  • [01]徳川家康への出仕(1575)
  • [02]「井伊の赤備え」編成(1582)
  • [03]関ヶ原東軍先鋒(1600)
  • [04]近江佐和山藩開府(1601)
  • [05]井伊家・彦根藩の基礎確立

第八章 — 参考資料

原典・公的アーカイブ

  • 一次資料

    三河物語

    大久保彦左衛門忠教

    徳川初期家臣による同時代家中記録、直政の事績にも言及

  • 学術文献

    徳川四天王

    煎本増夫 / 新人物往来社

    徳川四天王四人の事績を史料批判的に整理、井伊直政の章を含む

  • 公的所蔵

    彦根城博物館

    滋賀県彦根市

    井伊家伝来の甲冑・赤備え装備・文書を所蔵

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